甘い囁きが欲しい
「最近さ、彼氏、できたの?」
賑やかな集団がフロアを通り抜ける。
賑やかな音から、避けるように部長が私の耳元へと顔を少しだけ寄せて尋ねた。
「彼氏というか・・・私は、好き、なんですけど」
そう。
私は、誰かに聞いて欲しかった。
でも、こんなこと誰にも言えなくて。
泣きたくて。
否定をして欲しいような、背中を押して欲しいような。
なんといっていいかわからない。
そんな気持ちにずっとずっと包まれていたんだ。