甘い囁きが欲しい
「ず、るいです。部長」
やっと出た言葉は、なんだか間抜けで彼の前ではなんの意味も持たないような言葉。
「うん、ずるくてもいい。
それでもいいから、俺のそばで笑ってて欲しいんだよ」
お洒落なBGMとは程遠い、有線から流れてくる音楽はあの人が好きなアーティスト。
やっぱり、どんな時でもその人が頭から離れない私は・・・
「ごめんなさい、やっぱり、私「じゃあ友達になろう」
どう、部長に伝えたらいいのか分からなくて。
断りの言葉を考えているあいだに重ねられた声。
「え?」
「今までは、上司と部下だったけど。
友達になろう、会社ではその関係は変わらなくてもたまにこうやってご飯に行こう」
私には意味のわからない言葉で、頭の回転の早い部長とは違って処理速度がおいつかずに会話が流れる。
「え?」
「優香ちゃんが愚痴が溜まったり辛い時は俺が話聞くよ。
それならなんにも問題なんかない」