甘い囁きが欲しい

『会えない』
そういう訳ではなかった。

正確に言えば、週一回から二週に一回


会っていた。

出会った暑い時期から肌寒さと人恋しさを覚える季節へと時間も過ぎ去るように。




そして、曖昧に笑って流すということを身につけた私は、大人になったかもしれないけれど人間的にはどうなんだろう。
いつから、こんな上手に気持ちを隠すことを覚えたのだろう。



「うん、たまにかな」
「今度、休みの時甘えさせてもらいなよ」
「・・・そうだね」
「優香は、本当は甘えたがりなんでしょ」




彼女の言葉に、深い意味なんてないことくらい。


わかっている。


むしろ、わかっていての言葉なら、彼女はなんて人だろう。



チクチクする。

いつから止まらなくなったんだろう。
< 7 / 35 >

この作品をシェア

pagetop