千恋☆ロマンス Ⅰ 【かなりの加筆修正により、若干ストーリーが変わります】
その日は、確かに何か変わる気がしてたんだ。
「ない……んない……」
『ん……。』
「神内!!」
呼ばれたのは私の名前。
担任からの、決して優しげではない声でゆっくりと目を開けた。
昨日は遅かったんだから、勘弁してよ……と心の中で悪態をついた。
…………おはようございます。神内永遠子です。
ただいまお昼時な四時間目。
お察しの通り、いやぁ、ついうっかりお昼寝しちゃったよね☆
「おはよう、神内。よく寝ていたな。」
『おはようございます、先生。ぐっすりでした。』
別に笑いを狙った訳じゃないのに教室中から笑い声。
そして……
………………担任の顔が般若になりました。
ここはいっちょー謝っといた方が……いいみたい。
謝れば、大抵どうにかなるよね。
『悪気はありません。ごめんなさい先生。』
「お前な……そんな笑顔で謝られても説得力ないんだよ…………じゃなくて神内!四時間目の俺の古典の授業を潰してこうして特別にホームルームを開いているっつーのに……大切な事だって思わないのか?あ?」
『……ああ、そういえば。』
今日は朝から凄く眠たくて、SHRの時から適当に話を聞き流していってたけど…………男子とかが、授業が潰れるって喜んでたっけ……。
まだどこかぼんやりしている私を見て、先生はちょっと呆れ顔だ。
脱力したようにため息をついた。
「はぁーー…………もういい。神内!今からはよく話を聞いておけよ。皆、転校生を紹介する。東条、入ってこい。」
「はい。」
その転校生が────
運命を変える転校生が、私の通う、弥生高校 一年二組に転校してきたのは、夏真っ盛り、夏休み目前の七月の中旬の事だった。