千恋☆ロマンス Ⅰ 【かなりの加筆修正により、若干ストーリーが変わります】
もうこうなったら、私のやるべき事は一つしかない。
お昼ご飯、まだ途中な事が少し心残りだけれど、覚悟を決めて私は机と向き合った。
『……、マドンナ。応えて。』
そう言って私は机に話しかける。
一見したら……というか、一見しなくても変な行動だよね……。
そんな奇行を当たり前みたいに受け入れている梓と玲。なぜなら慣れっこだから。
「全く、しょうがないわねぇ。」
暫く念じれば、返ってくるのはハスキーな声の返事だ。
勿論──この声の主は、マドンナと呼ばれるこの机である。
これが私の秘密。
私の家は代々「鎮め清めのカミウチ」と呼ばれています。
神内家。
今はジンナイと呼ぶけれど、昔はカミウチ。
卑弥呼の時代から、モノの魂を見、清め、鎮めてきた家系。
私はその家の子どもなのです。
「鎮め清めのカミウチ」の持つ能力。
人あらざるものとコミュニケーションがとれる能力。
私達はこの力を使って、人の世の安定の為に、日々走り回ってるっていう訳です。
『マドンナ、今どこの気が一番悪い?』
「生物教室よ。」
『ありがとう。』
「マドンナは何て言ってたー?」
と梓。
『生物教室が悪いって。行ってくるね!』
「永遠、」
立ち上がって走り出そうとすれば、玲くんに名前を呼ばれた。
『何?』
「アレ、忘れるなよ?」
『……りょーかい。』