千恋☆ロマンス Ⅰ 【かなりの加筆修正により、若干ストーリーが変わります】
アレというのは結界だ。
清めている時に人が来たら困るからね。
なんで玲がそんな事を、わざわざ言うかっていうのは、また別の機会に説明するね。
「永遠子!」
喋ったのは私のポケット。
正確に言えば、ポケットの中のスマートフォンだ。
名前はジュリアと言います。
「生物教室に急いで!結構まずイヨ!」
ちなみに、カタコトなのは海外製だから。
ヴー、ヴーとバイブモードにしてないのにジュリアは揺れ、私に急げと告げてくる。
確かに、“今日のは”酷いかもしれない。
いつにもまして空気が、“痛い”のだ。
1年2組の教室は東棟の3階にある。
生物教室はまさかの西棟の1階。
『…………こんな時に限って遠すぎだってば……!』
有り得ない程の階段の昇り降りを繰り返し、走る。
(満腹じゃなくて良かったかもしれない。)
横腹が死滅するところだったよね。
*
勢いよく───いや、むしろ勢い余って“バンっ”と大きな扉を立てて扉は開いた。
『……っ、これより清めの式を行う。───結界!ゲホッ……』
…………息を整えて叫ぶものの、若干決まらなかったのは仕方がないことだと思うの。