千恋☆ロマンス Ⅰ 【かなりの加筆修正により、若干ストーリーが変わります】



アレというのは結界だ。

清めている時に人が来たら困るからね。

なんで玲がそんな事を、わざわざ言うかっていうのは、また別の機会に説明するね。



「永遠子!」


喋ったのは私のポケット。

正確に言えば、ポケットの中のスマートフォンだ。

名前はジュリアと言います。




「生物教室に急いで!結構まずイヨ!」



ちなみに、カタコトなのは海外製だから。

ヴー、ヴーとバイブモードにしてないのにジュリアは揺れ、私に急げと告げてくる。

確かに、“今日のは”酷いかもしれない。

いつにもまして空気が、“痛い”のだ。




1年2組の教室は東棟の3階にある。

生物教室はまさかの西棟の1階。




『…………こんな時に限って遠すぎだってば……!』


有り得ない程の階段の昇り降りを繰り返し、走る。

(満腹じゃなくて良かったかもしれない。)

横腹が死滅するところだったよね。









勢いよく───いや、むしろ勢い余って“バンっ”と大きな扉を立てて扉は開いた。



『……っ、これより清めの式を行う。───結界!ゲホッ……』


…………息を整えて叫ぶものの、若干決まらなかったのは仕方がないことだと思うの。





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