千恋☆ロマンス Ⅰ 【かなりの加筆修正により、若干ストーリーが変わります】



結界を張ることは勿論、人に秘密の行為を見られないようにするため。

そして、カミウチの力を一つの空間に薄く張り巡らせることによって、より敏感に声に反応するためだ。




「げっ……。カミウチ…………」



だからちゃんと聞こえた。

小声だけど明らかな動揺。

そそくさと存在感を消そうとしている小さな“彼女”を私はつまみ上げた。


『まったく……どうしてそんなに興奮してるの!ビーカーのアンヌさん。』



そう、今日は、ビーカーのアンヌの“強すぎる思い”原因みたいだ。

「チッ……バレたわね」じゃないよ、もうね!

白状しなさいと凄めば、カタカタと彼女は横に揺れて「だって~」と口を開いた。


「超イケメンが来たのよ!!この部屋に!!」



超…イケメン?

この学校で超イケメンと言えば玲だ。

だけどそれなら、もはや“玲君ファンクラブ”に入ってるようなもののアンヌさんは「玲君が来た」って言うよね。




という事は。




『……転校生ね?』

「そう!!あの彼、カミウチのクラス?超好みなのよ~!あっ、でも玲君も捨てがたいわね~!」

『もー……人の幼馴染みを変な目で見ない……』



アンヌさんはビーカーだけど、本当に恋する乙女のようにポッと熱くなった。

それだけなら、まだ良かった。

少しヒートアップし過ぎて周りに影響を及ぼし始めたのなら、落ち着いて貰えばいい。

その為なら、話を気が済むまで聞く事だってなんでもした。

でも。



『異常に熱い……アンヌさん、自分で感情、コントロール出来なさそう?』

「あれっ……あ……あ”……あ”あ”あ”くるしいぃぃぃっ!!!アツイイイイイイッ!!」

『駄目、か。』



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