お茶の香りのパイロット
ディーナとナオヤがそんな話をしているとき、侵入者を知らせる警報が鳴リ響いた。


「侵入しているのは何者だ?」


「タンガ軍人の一部と思われるテロ集団のようです。」


「テロか・・・怪しい者が潜んでいないかカメラをまわせ!」



カフェのある通りの1本向こう側の通りでトラックとバスが爆破されたものの、フィアとアルミスがすぐにラーガとラフィニで出撃して殲滅できたためテロ行為はとりあえず止まった。


「アルミス様、お疲れさまです。
お茶をいれましたからどうぞ。」


「ああ、ありがとう。・・・・。」


「アルミス様、どうかしたんですか?」


「うん・・・フィアがね、もうひとりテロのメンバーのところにいた人間がいないっていうんです。
見た目はわからないし、私はそのような人物を見ていないんですがね、フィアにそういわれるといるような気になるし、ラーガもいるというんです。」


「ふむ。フィアはもうひとりを見たってことだよな。
ちょっと俺が近くだけでも見てくるよ。」


「あまり遠くへ行かないでください。危険です。
カメラを動かしてモニターに映せばわかるので、絶対無理しないように。」



「あいよ。わかってるよ。」



30分ほどしてナオヤは浅黒い肌をした若者を連れ帰った。

するとフィアがすぐに


「この人です。テロ集団の中に最初いました。でも・・・」



「テロの実行犯じゃないっていいたいんじゃないか?」


「ええ、ナオヤさんも感じたんですか?」


「感じる?そんな特技は俺にはないよ。
けどな、こいつからは悪人の臭いがしないのはわかるぜ。

ちょっとだけ話をきいたんだがな、彼は妹を人質にとられてテロの片棒をかつぐことになったんだが、実行直前に妹が死んでいたことがわかって逃げたらしいんだ。
それで追われていたからいっしょにいたと言われて困ってるんだよ。」


「そうだったんですか。
あの・・・そちらの方のお名前は何とおっしゃるんですか?」


「ああ、ワガン・ヤグフィンナ君だ。そうだったよな。」


「はい。ワガンです・・・あっ」


「ああっ!ワガンさん・・・あなたもその宝石を・・・持ってらしたんですか?」


「これは妹が持っていたペンダントです。
どうして、これがあなたに反応するのか?」



「これなの。」



フィアはワガンにペンダントにしている指輪を見せた。


「あなたも持っておられたとは・・・。それで惹かれあったんですね。
この宝石は友を呼ぶ宝石ですから。」



「友を呼ぶんですか?」



「はい、もともと別の宝石というかただの石ころの原石だったペンダントを妹は持っていました。
それを僕はずっとお守り代わりに持っていました。
しかし、妹が亡くなった夜だと思うんですが・・・石ころがこの宝石に変化したんです。」


「あっ!私も親友の指輪の石が・・・もとはトパーズだったのに色が変わってこれになってしまいました。」


「なるほど・・・で失礼ですが、あなたもそのお友達が亡くなってたくさん泣いた経験がおありなんじゃないですか?」


「ええ、私は身寄りが幼い頃になくしていて寄宿舎生活が長くて、彼女とは小さい頃からずっといっしょでしたから泣くなんてものじゃなかった。

涙が枯れてしまっても声にならないようなかすれ声で、ずっと唸っていたってご近所の方にいわれたほどだったの。
え・・・もしかして・・・そんな涙の宝石?まさか・・・夢のようなお話だけど。
私だけと思ったら他にも同じ体験してる人がいたなんて!」
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