世界で一番、ずるい恋。
ねえ、この現実を変えるにはどこまで過去に戻ればいい?
どこで私は間違えちゃったのかな?
いつから先生は恋那ちゃんのことが好きだったの?
ずっと見てたのに、気付かなかった。
私は何を見てたの?
私には一体、何が見えていたの?
「千堂くん……っ、千堂くん」
「大丈夫、大丈夫だ阿波」
今まで秘めてきた好きが、伝えられなかった好きが、どうしようもなく溢れてくる。
「俺がそばにいるから。泣き止むまで、絶対にそばにいてやるから」
だけどやっぱりそれは言葉に出来なくて、涙となって姿を現す。
一粒、一粒、と溢れ、それらは勢いを増して頬を濡らしていく。
「だから今は、何も心配するな」
私を受け止めてくれる千堂くんの腕の中で、私は子供のように声をあげながら泣いた。