世界で一番、ずるい恋。
「…………最悪」
翌日、昨日泣きすぎたせいで腫れまくっている目を鏡で見て愕然とした。
普段はしないけど、これはメイクで隠せるかな?と奮闘してみたけど、諦めてそのまま登校してきた。
昨日あれだけ泣いてしまって千堂くんと顔を会わせるのは何だか気まずい。
でも、あのおかげで少しはスッキリした……はず。
だけど結局あのままお礼も言えなかったから、今日ちゃんと言わなきゃいけない。
だけど、私にとってそれよりも問題なのは……先生と、恋那ちゃんだ。
どういう神様のいたずらか、今日の一時間目は数学。
「あぁぁぁ、もう有り得ない」
教室についても勿論そのモヤモヤした感情は晴れるわけがなくて私を悩ませる。
「どうしたの、茜。幸せが逃げていくよ?」
そんな私を不審に思った隣の席の陽果が怪訝そうな視線を送ってくる。
幸せ、ねぇ…と考えるだけで今の私には頭が痛い。