世界で一番、ずるい恋。
それに、あの日。
学級委員に優しい笑顔を向けたのも、相手が恋那ちゃんだったから。
何だ……私が、学級委員になったってあの笑顔が向けられることなんてなかったんだ。
1つ真実を知ってしまっただけで意図も簡単にあらゆることが繋がってしまう。
知りたくもないことに気付いてしまう。
ほんとバカみたいじゃん私。
勝手に想って、勝手に知って、勝手に傷付いて。
先生も無用心だよね。
あんなところで話してたら誰かに聞かれるかも、とか考えないのかな?
学校にバレたらどうなるかとか考えないのかな。
生徒に手を出したってことになると間違いなく、この学校にはいられなくなるのに。
そうだ、そうだよ。
そんな先生ってことが知られたら、ここにいられなくなるんだ。
ぐるぐると渦巻く黒い感情。
それは次第に大きく広がって気付かないうちに私の心を染めていく。
「阿波、ボーッとしてどうかしたのか?」