世界で一番、ずるい恋。
「……別に」
今、窓ガラスに写る心配そうな表情を浮かべた先生の顔を見た瞬間、わかった。
大袈裟かもしれないけど、愛と憎しみってーーいつだって隣り合わせなんだ。
笑顔が好き。
でも、他の人に向けられる笑顔は嫌い。
声が好き。
でも、他の人の名前を呼んだり、他の人に愛を囁いたりする声は嫌い。
先生が好き。
でも、他の誰かのものになった先生は……嫌。
身勝手な嫉妬っだってことは分かってる。
だけど、あの笑顔も声も優しさも、全部、全部、誰かのものかと思うだけで胸をえぐられるような感覚に陥る。
苦しくて、辛くて……憎いとさえ思う。
なんて、私は酷い奴なんだろう。
今まで、知らなかった。
こんな自分、知りたくなかったーー。
どうすれば、良いですか?
どうすれば私は先生の瞳に映りますか?
どうしたら生徒から抜け出せますか?
どうしたら、恋那ちゃんに勝てますか?