世界で一番、ずるい恋。




私がこんなやつだから、敵うわけなんてないんだよ。

可愛くて、人気者で、頭も良くて、しっかりもので。

どうすれば、そんな彼女に勝てるというの。




第一、ずっと見てるだけだった私が、勝てるわけがない。

動くのがあまりにも遅すぎた。



嫌われるのが怖くて、迷惑がられるのが怖くて。



逃げて、密かに、遠くから。

どうしたら、こんな私が先生の瞳に映るっていうの。


もう、どう足掻いたって、無駄なんだ。

遅かった、もう手遅れなんだ。



だったら、もう。

何も恐れることなんて無いのかもしれない。



だって恋なんて全てが報われるわけじゃないでしょ?

それに別に彼女じゃなくたって貴方の瞳に映る方法はあるはず。



だって物語はお姫様と王子様だけが登場人物じゃない。

脇役……そう、悪役だって必要だと思うの。




例え幸せな記憶じゃなくても、貴方の記憶に残るのなら私はそれでも構わない。





< 109 / 264 >

この作品をシェア

pagetop