世界で一番、ずるい恋。
私がこんなやつだから、敵うわけなんてないんだよ。
可愛くて、人気者で、頭も良くて、しっかりもので。
どうすれば、そんな彼女に勝てるというの。
第一、ずっと見てるだけだった私が、勝てるわけがない。
動くのがあまりにも遅すぎた。
嫌われるのが怖くて、迷惑がられるのが怖くて。
逃げて、密かに、遠くから。
どうしたら、こんな私が先生の瞳に映るっていうの。
もう、どう足掻いたって、無駄なんだ。
遅かった、もう手遅れなんだ。
だったら、もう。
何も恐れることなんて無いのかもしれない。
だって恋なんて全てが報われるわけじゃないでしょ?
それに別に彼女じゃなくたって貴方の瞳に映る方法はあるはず。
だって物語はお姫様と王子様だけが登場人物じゃない。
脇役……そう、悪役だって必要だと思うの。
例え幸せな記憶じゃなくても、貴方の記憶に残るのなら私はそれでも構わない。