世界で一番、ずるい恋。
難しいね、好きな人を傷つけるのって。
難しいね、好きな人を嫌いになるって。
いつまでたっても私は先生への"好き"って気持ちが完全に消えてくれなくて、中途半端に傷付けてる。
心の底から、って難しいね。
表面だけで、薄っぺらい。
薄っぺらいから、説得力があるわけでも先生を完全に追い詰めるほどの迫力も恐怖もイマイチ欠けてて。
現に今、先生は逃げ道を探してる。
「ねえ、先生。どうして?」
「…んだよ」
「え…?」
聞き取れず、思わず聞き返す。
その瞬間に聞き返さなければ良かったなんて思ったところで、もう遅い。
「……恋那のことが、好きで好きで、仕方がないんだ」
世の中、知らない方が幸せなことがあるって痛いほど知ってるはずなのに。
それをつい昨日、知ったばかりだっていうのにバカすぎる。