世界で一番、ずるい恋。
「だからーー」
「どうなるか分からないよ?」
勢いよく振り返り、私を見た先生に迷いなく言い放つ。
グッと唇を噛み締めて俯いてしまった先生。
「まあ、どうなってもいいなら構わないけど。先生もーー好きで好きで仕方がない、恋那ちゃんも」
先生の覚悟は、どれくらいのものですか?
先生の愛は、どれくらいのものですか?
……出来るものなら、守り抜いてみせてよ。
その、好きで好きで仕方がない人を。
「あーあ。私が26の人を好きだって言ったら、それは憧れだ。なんて私の想いを否定したくせに」
「ーーそれは!」
顔をあげた先生の顔をみて、一瞬時が止まったような感覚に陥った。
……先生…泣いてる?
それほどまでに綺麗な先生の顔は、情けなく歪んでいて、見てるのさえ辛いと思わせた。
切なげに揺れる瞳に映る私は、ちゃんと冷ややかな表情を浮かべてますか?
私も泣きそうな顔はしてませんか…?