世界で一番、ずるい恋。
まあ…千堂くんは無視してるみたいだけど。
恋那ちゃんは先生の彼女なわけで、そこに恋愛感情はないはず。
だから別に気にすることなんてない。
それなのにモヤモヤして、妙な苛立ちを覚えるのはどうしてだろう?
それは恋那ちゃんは千堂くんが好きだって聞いてたから、私が気にしすぎてるだけなのかな?
ただ、やっぱり異常な気がするんだよね……。
他の男子にもこんな感じなら分かるんだけど、そういうわけじゃない。
でも、千堂くんカッコ良いから……。
女子からも人気が高いから、そういう人と仲良くなりたいって気持ちは分かる。
まあ、そんな深く考え込むようなことじゃないよね?
「おい、阿波。さっさと来ねぇと、置いていくぞ」
「あ、うん……っ!」
よし、切り替えなきゃ。
返事をすると、私は慌てて千堂くんを追いかけた。