世界で一番、ずるい恋。
「……あ?」
その文字を見た千堂くんから返ってきたのは、体が凍りつきそうなほど冷たい声だった。
な、なんで…!
私はちょっと仕返ししただけなのに。
しゅんとしてると、トントンとテーブルを叩かれた。
彼の方を見ると千堂くんは、持っていたシャーペンでスッと窓の外を示した。
……その先は、数学準備室。
ん?どういう意味だろう?
訳がわからず首をかしげる。
「……っ」
すると次に指したのは、先生だった。
その方向に視線を向けたとき不運にも先生と目があってしまった。
目をそらそうーーそう思ったら。
私がそうするよりも先にら先生がそらした。
…なに傷付いてるんだろう、私。
バカじゃない。避けられて当たり前のことを私はしたんだよ。
これからも、しようとしてるんだから。
……なのに、傷付いてどうするのよ。
「……ん」