世界で一番、ずるい恋。




「じゃ、各クラス何をするか来週の頭までには決めてくれ。お疲れ、解散!」





先生のその声を合図にみんな席を立ち、動き出す。

鞄を持って続々と図書室から出ていく他の学年やクラスの文化祭委員をよそに、私と千堂くんの二人はじっと座っていた。



隣同士で、お互い無言で、視線を合わすことすらすらない。

回りから見たら、異様な光景だと思う。


……だけど、十分後。

その空気に耐えきれず、私は立ち上がって本棚の整理をすることにした。



すると、後ろからガタッという音がして、千堂くんも立ち上がったんだなんて思う。



でも私の頭のなかはさっきの千堂くんの文字でいっぱいだった。



どうしたら、良いんだろう。

何て言えば、良いんだろう。




手伝ってなんて言うつもりは、勿論ない。

でも、私一人でやるって言ったっところで千堂くんにはバレてるんでしょ?

……もし、他の誰かにバラされたらどうする?


この質問に対する正しい答えが見つからない。


私には…分からない。






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