世界で一番、ずるい恋。





「じゃ、じゃあ…任せたな」

「はい、サヨウナラ。…… " 先生 " 」





千堂くんは普段からは考えられない程の爽やかさ120%の笑顔を浮かべ、嫌味たっぷりな口調で先生を送り出した。


今日の千堂くんは、変だ。




でも、先生は今から千堂くんが言うように恋那ちゃんのもとへと向かうのだろうか。

……嫌だ、なんて言う資格も思う資格さえも私には無いのだけれど。




「ねえ、千堂くん?」

「ーー律」




今の一部始終の意味を聞こうと名前を呼んだら、遮られた。


……律、って。

今のって、もしかして……。





「名前で呼んで、ってこと…?」

「ん、そういうこと」




さっぱり意味が分からず、思わずポカーンとする。

だって、何で今このタイミングで千堂くんのことを律って呼ばなきゃいけないの?



横にいた千堂くんは私の前に来て、膝を曲げ顔を覗きこんでくる。





「だって、俺は茜って呼んでるのに…お前は名字で呼ぶ、っていうのは変だろ?」










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