世界で一番、ずるい恋。
大 切 *important*
はあ……。
過去最悪のの文化祭だ。
盛大なため息も、溢れる人々によって呑み込まれて消えていく。
いっそ、私ごと呑み込んでくれたら良いのに。
そしたら、楽なのに。
律も先生も、あの場に放置して私はブラブラと宛もなく各クラスや部活の出店などを回っていた。
……やっぱり一人じゃ、楽しくないや。
お腹すいたし、何か食べ物買おう。
人の邪魔にならないように、廊下の隅に寄る。
そこでしおりを見ながら、たこ焼きか焼きそばか考える。
ここから、近いのは……。
「たこ焼きも焼きそばも二階か……」
「ーー食べる?」
溢れかえる人の中でふいに後ろから聞こえてきた声に、私の動きが止まる。
だって今の私に、そんな優しい言葉をかけてくれる人なんていないと思ってたから。
「食べるの、食べないの?茜」