世界で一番、ずるい恋。
先生の悲痛な叫びが狭い部屋に響く。
いい加減にしてくれ、か…。
「生徒に手を出して、私に偉そうに説教するつもり?」
じっと私を見る視線に負けじと対抗する。
負けない、こんなところで引き下がってたまるもんか。
「好きになるのに、教師や生徒が関係あるのか?」
先生が言ったのは真っ直ぐな視線同様、あまりにも真っ直ぐな言葉だった。
揺るぎない、恋那ちゃんへの想いを感じる。
「開き直らないでほしいんだけど」
「俺は別にーー」
「そんなこと言うならさ、先生は全校生徒を前にして公言できるの?自分は恋那ちゃんと付き合ってるって」
立場なんて関係ないって言い切れるなら、出来るでしょ?
私だって先生とか生徒とか好きになるのには立場は関係ないって思うよ。
ずっとそう思ってたし、そう思いたいよ。
でも、無理でしょ?
だから、先生は今、そんな困った顔をしてるんでしょ?
言えないよね、言えるわけないよね。
だったら、きっと、そういうことなんだと思う。