世界で一番、ずるい恋。
「なら、俺は……っ」
「……え?」
「なら俺はどうするば良いって言うんだよ!」
突然声を荒らげた律に驚く。
だって、こんな感情的な律、初めて見たから……。
だって、私の前ではどんな時だって落ち着いて冷静だった。
「綺麗ごとだけじゃ、太刀打ちできないことなんて、世の中に山程あんだよ!」
「……っ」
その言葉に悔しそうに唇を噛んだ陽果。
ここまで、二人を苦しめてるのは一体、何なんだろう。
陽果や律までもから冷静さを奪ってしまうもの。
朝から考えると、先生が関係してるのだろうか。
でも、だとしたら、私も関わってるんだろうな。
茜は悪くない、というさっきの陽果の言葉。
……やっぱり、一番の原因は私なんだろう。
「ねえ、律」