世界で一番、ずるい恋。



「なら、俺は……っ」

「……え?」

「なら俺はどうするば良いって言うんだよ!」




突然声を荒らげた律に驚く。

だって、こんな感情的な律、初めて見たから……。


だって、私の前ではどんな時だって落ち着いて冷静だった。




「綺麗ごとだけじゃ、太刀打ちできないことなんて、世の中に山程あんだよ!」

「……っ」




その言葉に悔しそうに唇を噛んだ陽果。


ここまで、二人を苦しめてるのは一体、何なんだろう。


陽果や律までもから冷静さを奪ってしまうもの。

朝から考えると、先生が関係してるのだろうか。


でも、だとしたら、私も関わってるんだろうな。

茜は悪くない、というさっきの陽果の言葉。



……やっぱり、一番の原因は私なんだろう。






「ねえ、律」






< 197 / 264 >

この作品をシェア

pagetop