世界で一番、ずるい恋。

「律、ごめんね……っ」



嫌ってくれれば良かったのに。

あんな行動に出た時点で、幻滅してくれれば良かったのに。




「……でも、ありがとう」




どうしてそんなに想ってくれたの？


こんな一言じゃ、伝えきれないよ……。

涙を拭って、律を見つめる。


……笑え、私。

例え涙が止まらなくても、体が震えていても、無理やりにでも笑え。




「ったく、ひでぇ顔」

「……うるさいっ」




そんな台詞、律にだけは言われたくない。

だってきっと私たち、同じような顔をしてる。



どうして、彼のことを好きになれなかったんだろう。

そしたら、こんなにも傷付けずに済んだのに。

先生のことを苦しめることも無かったはずなのに。


……でも、そしたら恋那ちゃんのことを苦しめてたのか。

結局私たちはどの道を選んでも、傷付けて、苦しめ合うんだね。





「……笑って、泣いて、苦しんで、もがいて、青春ってそんなものだろ…？」