世界で一番、ずるい恋。
「うわぁ、ご、ごめん!ビックリしたよね!」
「……いや、別に」
慌てて謝ると少しの沈黙の後、千堂くんはそう言った。
そしてその言葉と同時に腕を掴む力強さも離れていった。
「あと、勝手に触ろうとしてごめんね?」
「……は?」
「いや、寝起きでボーッとしてたとは言え、髪に触ろうとするなんて……!普通に考えて嫌だよね」
椅子に座りなおして、顔を覗き込んで、しっかり目を見て謝る。
こんな大して仲良くもないような奴に触られるって不愉快だよね。
しかも、異性だし……。
だけど千堂くんはそんな私の言葉にポカーンとしている。
「千堂くん?」
「……お前ってさ、本当にバカだよな」
どうしたのかとか思って名前を呼ぶと、千堂くんは額に手を当てながらため息まじりにそう言った。
え、なに突然……。
「こうやって話してると、学年トップとか信じられねぇんだけど」