世界で一番、ずるい恋。



窓の外は、太陽は沈みかけるどころか、すっかり姿を消していた。



慌てて時計を見ると7時30分。


通りで暗いはず……。

というか、図書委員の仕事は6時30分まで。

もう一時間も過ぎている。



私、図書室でどんだけ寝てたわけ!?




「か、帰らなきゃっ!」




遅くなるなんて連絡もしてないし、お母さん絶対怒ってるよ……!!

慌てて立ち上がり、机の上に投げ捨てていた鞄を手に取る。




「千堂くんももっと早く起こしてくれれば良かったのに!」




なんて、起こしてとも言わずに自分が勝手に寝たくせに、八つ当たりをする。




「あまりに気持ちよさそーに、よだれ垂らして寝てたから、起こしたら悪いかなって思ったんだよ」


「……う、嘘!」


「うん、嘘」




鍵を持って私が図書室を出るのを待っている彼の腕を軽くパンチをした。


あんな真顔で言われたら本当か嘘かなんて分からないよ。





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