世界で一番、ずるい恋。
さすがに落ち込みすぎな陽果に声を掛けようとした時、後ろから聞こえた挨拶。
「あ、おはよう恋那ちゃん」
振り返ると、その視線の先にいたのは美倉 恋那(みくら れんな)ちゃん。
彼女は私が人生で逢った人の中で断トツに可愛い。
白い肌にふわふわな黒髪。
オーラからして可愛くて彼女からはマイナスイオンが出てるんじゃないかと私は密かに疑っている。
優しくて、可愛くて、学級委員までも務める彼女は男子から絶大な人気を誇っている。
「……おはよ、恋那ちゃん」
まぁ、陽果はどうやら苦手みたいだけど。
というよりも、彼女は女子全体からあまり良いように思われてはいないみたい。
こんな完璧な子がいたら嫉妬の嵐で、そういう対象になってしまうのは仕方がないのかもしれない。
……でも、陽果は、そんな人間じゃないと思うんだけどな。
「ねえ、何の話してたの?」