世界で一番、ずるい恋。




さっきまでとは違って、少しだけ低くなった先生の声がすぐ後ろから聞こえてドキリとした。


……もしかして、私、何かバレてる?

まさか、そんなわけないよね。

きっと何か別のこと。



そう思うのに、もともと先生の前では平常心を保てない私が突然の出来事になんて対応できるわけがない。




「……何のことですか?」




今の私にはそう返すのがやっとだった。


確かに聞きたいことはある。

だけど、だけどね先生。



ここ最近、部活にも顔を出さずに、社会科教室からも見えなくて。

一体、どこで、誰と、何をしてたんですか?



そんなこと聞けると思いますか?

口が裂けても聞けないよ。



だって、聞いたら好きだってバレちゃうでしょ?

先生のことが大好きだって。



" 両想い "

そんなゴールが待ち構えてないと私はきっと走り出せない。




でもさ、先生。

きっと本当は、好きになっちゃいけない相手なんだろうね。






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