世界で一番、ずるい恋。




「え、左手には、何が入ってるか気にならない?」




私の想像を遥かに超える、あまりに呑気な返答に思わずズッコケそうになった。

何それ、正直言って興味がない……。

そして、私の緊張を返して欲しい。



偉く真剣な声で聞いてきたから、何事かと思ったのに……先生。

まさかの、そんなことですか?



まあ普通に考えて先生に好きだなんてバレてる可能性なんて、低いんだけどね。

でも、良かった。

ただの考えすぎだって分かって安心した。




「実はこっちも苺ミルク~」




なんて振り返ってもないし、別に左手の中を聞いたわけでもないのに、聞こえた声。


しかも苺ミルク~の言い方は某ネコ型ロボットの真似をしたんだと思う。

だけどお世辞でも似てるとは言えない程に低レベルだから、もしかしたら違うのかもしれない。



「おーい、阿波」



トントン、と叩かれる肩。

何だか嫌な予感がするのは気のせいかな?




「今の物真似、どうだったか?」






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