世界で一番、ずるい恋。
勉 強 *study*
「よし、なら阿波はこの机な」
ドアを開けて教室に入ると、先生は向かい合う机のひとつを指差してそう言った。
私は頷きながら、周りを見渡す。
……中って、こんな感じになってるんだ。
本棚には沢山の数学関連の本が並んでいて、窓の横にある机には、答案かな?資料が山積みになっている。
「あー、散らかってるんだから、そんなに見るな。早く座りなさい」
「はーい」
先生ってあまり片付けが得意じゃないのかな?
まあ確かに少し大雑把だなって思うときがあるもんね。
鞄を床に置いて、椅子に座る。
そしたら先生は向かい側に座って、思ったよりずっと近い距離にドキッとした。
私、この距離で勉強するの?
大丈夫?頭に入るかな?
どこを見たら良いか分からずに俯いても、視界の端に机に置かれた先生の手がちらつく。
「んで、どこが一番分かんないとかあるか?」