世界で一番、ずるい恋。
「ん、阿波?」
「……何ですか、先生」
「うん……ごめん」
謝るくらいなら最初からそんなこと言わないでください。
そう思ったけど、その言葉はぐっと呑み込んだ。
だって、そうだよね…。女らしく、か。
私の方が年下なんだから釣り合うためには女らしくないとダメなわけで。
お子ちゃまなんて相手にされるわけがない。
「ねえ、やっぱり先生は女らしい人が好きですか?」
気が付けば私はそんなことを聞いていた。
突然そんなこと聞いたら変に思われるかも知れない。
そう思ったけど、こんな質問だったら幾らでも誤魔化しがきくはず…。
「突然、どうしたんだ?」
案の定、突然の質問に首を傾げる先生。
「実は、私の好きな人が年上で。だから、先生の意見を参考にしようかなって思ったんですけど…」
とっさに考えたわりには上手い返答だと思う。
それに好きな人が年上っていうのは嘘じゃないし。