世界で一番、ずるい恋。
どこか冷ややかで、厳しい瞳。
先生の瞳に映ることをいつだって望んでたはずなのに、ちっとも嬉しくない。
それどころか、逃げたいとさえ思う。
「その男はちゃんとした男なのか?」
「そうですよ」
「女子高生。そんな名前だけで近付いてきたような変な男じゃないだろうな?」
「……違いますよ」
突然始まった取り調べ。
私は俯きながら、ただ、その質問に答えていく。
私の好きな人がどんな人か、なんて。
そんなの、先生が一番よく知ってますよ。
私の方が教えてほしいくらい。
こんなことをしに来た訳じゃないのに、何やってるんだろう。
こんなことをされる為に、あんな質問したわけじゃないのに。
ただ、知りたかった。
好きだから、せっかく話せるんだから、少しでも近づきたかった。
それなのに突きつけられたのは " 先生と生徒 " っていう決して揺るがない関係性。