世界で一番、ずるい恋。
嘆 く *grieve*
「誰か開けてるかな…?」
滲む汗を手で拭って呼吸を整える。
数学準備室を飛び出してひたすら走った私が辿り着いたのは図書室だった。
今週は私と千堂くんの当番じゃないし、電気もついてないし、開いてないかな…?
私たち以外の図書委員やる気無さすぎだもんね。
だけど他に行くところがないから一応と思ってドアに手をかける。
「あ、開いた…」
そのことに驚きつつも中に入る。
だけど誰も見当たらない。
おかしいな…。
授業で使って閉め忘れたとか?
でも、私からしたら一人の方が都合が良い。
正直、今は誰にも会いたくない。
一人で考えたい。
バカで惨めで、どうしようもない自分自身を。
先生の前では泣きそうだったけど、今はただ虚しさしか残ってない。
「私、何やってるんだろ…」
鞄を床に投げ捨てて私は椅子に座って俯せた。
座った場所はいつもの席の向かい側。
……数学準備室は、見たくない。