それでも、課長が好きなんです!
第6話 誰が変態か
一人暮らしをしていて、はじめてのことだった。
得体のしれない、しかも超がつくほどに怪しい人物を自宅へと入れてしまった。
だって……あのまま放置したら、本当に死んでしまいそうだったから……。
「たいしたものではございませんが……」
「おぉ!美味そう!」
「ありがとう」とほほ笑むその綺麗な笑顔はどこからどう見ても女性だけれど……。
低い声、わたしが作ったオムライスを大口を開けて頬張る姿、スカートで豪快にあぐらをかいて座る姿勢……
「食わないの?」
まじまじと見つめているとわたしの視線に気がついた女性……が、わたしの分の夕食に目をやった。
冷蔵庫の中の食材で作れたのは二人分のオムライスとオニオンスープ。
わたしはオムライスを一口だけ口に入れた。
ゴクリと飲み込むと再び正方形のテーブルの斜め前方に座る彼女へと視線を向けた。
黒く長い髪はまるで作り物のようにサラサラとして指通りが良さそうだ。
艶のある白い肌はよく見るとファンデーションが首元まで塗ってある。
手の甲はごく普通の健康的な肌の色をしていて顔と手の肌色が違う。
手もがっちりしていて女性にしては大きい。
でもその指先は細長く繊細で、上品でシンプルなネイルがほどこされていてとても綺麗だ。
再び顔へと目をやった。
規則正しく綺麗に並んだ長いまつ毛はつけまつ毛だ。
見事に左右一ミリのずれもない濃い目のアイラインが引かれていて見つめられると吸い込まれそうになる目力を作りだしている。
口元も綺麗な形をした唇に艶やかなリップが光って色っぽかったが、今はケチャップがついた唇を布巾で強引に拭って……あぁ、台無し。
すごい勢いで食事を済ませると「ごちそうさま」と手を合わせてその表情はとても満足そうだ。
「ワタシの顔に何かついてるかしら?」
視線だけをこちらに向け口元に笑みを浮かべた。
急に出た不自然すぎる女言葉にゾクリとした悪寒が背筋を走りドクンと心臓が高鳴った。
やっぱり、この人……
「あなた……男なんですか、女なんですか?」
……男、ですよね?
最後の言葉はぐっとこらえ単刀直入に、今何よりも一番気になることを質問した。
「失礼ね、女に決まってるじゃない」
「嘘だ!!」
身を乗り出した抗議に女性が目を丸くして瞬きを繰り返すとやがて吹き出した。
込み上げてくる笑いが抑えられないのかついには天井を見上げて豪快に声を上げて笑った。
「なんだよ、分かってんなら聞くなよ」
開いた口が塞がらなかった。
あっさりと男であることを認めた……?
というか最初から隠す気なかったよな、この人。
「趣味……なんですか?」
「へ?」
「女装……」
男性が「あぁ、コレ?」と言って大胆にスカートの裾をひらりとひるがえした。
ぎゃっ!中が見える。
わたしは両手で目を覆った。
「仕事だよ、仕事。どう?結構イケてるだろ?」
覆った指の隙間から長い髪をさらりと揺らし得意気な笑みを見せる男性の姿が見える。
仕事って……仕事で、女装?
オカマバーで働く従業員!?
それとも……い、今流行りの女装家!?
得体のしれない、しかも超がつくほどに怪しい人物を自宅へと入れてしまった。
だって……あのまま放置したら、本当に死んでしまいそうだったから……。
「たいしたものではございませんが……」
「おぉ!美味そう!」
「ありがとう」とほほ笑むその綺麗な笑顔はどこからどう見ても女性だけれど……。
低い声、わたしが作ったオムライスを大口を開けて頬張る姿、スカートで豪快にあぐらをかいて座る姿勢……
「食わないの?」
まじまじと見つめているとわたしの視線に気がついた女性……が、わたしの分の夕食に目をやった。
冷蔵庫の中の食材で作れたのは二人分のオムライスとオニオンスープ。
わたしはオムライスを一口だけ口に入れた。
ゴクリと飲み込むと再び正方形のテーブルの斜め前方に座る彼女へと視線を向けた。
黒く長い髪はまるで作り物のようにサラサラとして指通りが良さそうだ。
艶のある白い肌はよく見るとファンデーションが首元まで塗ってある。
手の甲はごく普通の健康的な肌の色をしていて顔と手の肌色が違う。
手もがっちりしていて女性にしては大きい。
でもその指先は細長く繊細で、上品でシンプルなネイルがほどこされていてとても綺麗だ。
再び顔へと目をやった。
規則正しく綺麗に並んだ長いまつ毛はつけまつ毛だ。
見事に左右一ミリのずれもない濃い目のアイラインが引かれていて見つめられると吸い込まれそうになる目力を作りだしている。
口元も綺麗な形をした唇に艶やかなリップが光って色っぽかったが、今はケチャップがついた唇を布巾で強引に拭って……あぁ、台無し。
すごい勢いで食事を済ませると「ごちそうさま」と手を合わせてその表情はとても満足そうだ。
「ワタシの顔に何かついてるかしら?」
視線だけをこちらに向け口元に笑みを浮かべた。
急に出た不自然すぎる女言葉にゾクリとした悪寒が背筋を走りドクンと心臓が高鳴った。
やっぱり、この人……
「あなた……男なんですか、女なんですか?」
……男、ですよね?
最後の言葉はぐっとこらえ単刀直入に、今何よりも一番気になることを質問した。
「失礼ね、女に決まってるじゃない」
「嘘だ!!」
身を乗り出した抗議に女性が目を丸くして瞬きを繰り返すとやがて吹き出した。
込み上げてくる笑いが抑えられないのかついには天井を見上げて豪快に声を上げて笑った。
「なんだよ、分かってんなら聞くなよ」
開いた口が塞がらなかった。
あっさりと男であることを認めた……?
というか最初から隠す気なかったよな、この人。
「趣味……なんですか?」
「へ?」
「女装……」
男性が「あぁ、コレ?」と言って大胆にスカートの裾をひらりとひるがえした。
ぎゃっ!中が見える。
わたしは両手で目を覆った。
「仕事だよ、仕事。どう?結構イケてるだろ?」
覆った指の隙間から長い髪をさらりと揺らし得意気な笑みを見せる男性の姿が見える。
仕事って……仕事で、女装?
オカマバーで働く従業員!?
それとも……い、今流行りの女装家!?