それでも、課長が好きなんです!
第9話 読めない男
熱湯を注いで三分とは便利なものだ。
フタの上に先ほどコンビニで弁当を買った際についてきた箸を乗せてテーブルに置いた。
「どうぞ……」
「なにこれ。こんなの自分ん家でも食えるんですけど」
強引に他人の家に上がり込み用意させた食事に堂々と文句を言っているのは、テレビの中でしか会うことなんてできないと思っていた人物。
「申し訳ないんですけど……冷蔵庫の中何もなくて」
「千明さ、こんなんばっか食ってるから小さいんだよ」
「え?」
小さいって……何がよ、身長?
わたし標準サイズのはずなんだけど。
視線を感じその視線を辿ると、自分の胸元に行きついた。
「んな!?」
声を上げ慌てて両手で覆い隠すと歯を見せにっこりと芸能人スマイル。
その極上の笑顔に思わず赤面……じゃなくて!違う!
怒りを覚えた。放っておいてくれ!!
柏木佑輔と言えば十代の頃からドラマや映画、CMなどでよくテレビの中で見る俳優だ。
歳が近いのもあって彼の活躍はずっと見てきているけど、俳優という職業柄プライベートは謎が多い。
でもあるトーク番組で、デビュー前からの知り合いで長い付き合いの彼女がいると言っていた。
だから一途で硬派なイメージを抱いていたのに……実際会ってみたら微塵も感じられない。
だって……年頃の女の胸見てこの人笑ったよ!?
「千明は何食べるんだよ」
わたしは黙ってマイ箸とコンビニの袋をテーブルの上に置いた。
袋の中から取り出した弁当はまだ若干の熱が残ってはいるものの……中身は全部片方に寄って最早何弁当か分からない状態だった。
……まずそう。
ちらっとそろそろ食べごろのカップ麺に目をやったが、「いただきまーす」とわざとわたしへ当てつけるような言葉と共に柏木佑輔の口の中へと入って行く。
……この人、おまけに性格もあまり良さそうじゃない。
勝手に他人のこと呼び捨てにしてるし。
「でもまさか千明があの会社の社員だったなんて。すごい偶然。ま、ここから近いしな~」
「わたしもまさかあの様子の可笑しな女性が柏木佑輔だとは思いませんでしたけど」
「様子の可笑しな?誰だよ、女装した俺にときめいていたのは」
「うっ」
否定、出来ない。
でもあの完璧な女装の迫力には誰だって息を飲んでときめくと思う。
「今日は一体……何の用があってここへ?」
「いや別に?ただ千明に会いたかったから来ただけだけど」
「じょ、冗談はやめてくださいよ」
「冗談じゃないよ。ずっと毎日会いたかったよ」
「ずっと!?な、なな何言って……」
「本当さ。今日たまたまばったり道端で会って、久々に千明のことを思い出した」
「……久々に思い出したのにずっと毎日会いたかったって?」
「細かいことは気にすんなよー」
ワハハと割り箸片手に大口を開けて笑っている。
失礼な上に性格も悪い、おまけに適当な人だ。
自分の中のヒーローや王子様は自分が都合よく作り上げた理想の塊で、芸能人だって同じ。
わたしが彼に抱いていた理想の数々は……見事に崩れ去りつつある。
現実をつきつけられた気分……。
そうだ、これは現実だ。
柏木佑輔が自分の部屋に上がり込んでいること、これは現実なんだ。
現実……やっぱり信じられない!?
フタの上に先ほどコンビニで弁当を買った際についてきた箸を乗せてテーブルに置いた。
「どうぞ……」
「なにこれ。こんなの自分ん家でも食えるんですけど」
強引に他人の家に上がり込み用意させた食事に堂々と文句を言っているのは、テレビの中でしか会うことなんてできないと思っていた人物。
「申し訳ないんですけど……冷蔵庫の中何もなくて」
「千明さ、こんなんばっか食ってるから小さいんだよ」
「え?」
小さいって……何がよ、身長?
わたし標準サイズのはずなんだけど。
視線を感じその視線を辿ると、自分の胸元に行きついた。
「んな!?」
声を上げ慌てて両手で覆い隠すと歯を見せにっこりと芸能人スマイル。
その極上の笑顔に思わず赤面……じゃなくて!違う!
怒りを覚えた。放っておいてくれ!!
柏木佑輔と言えば十代の頃からドラマや映画、CMなどでよくテレビの中で見る俳優だ。
歳が近いのもあって彼の活躍はずっと見てきているけど、俳優という職業柄プライベートは謎が多い。
でもあるトーク番組で、デビュー前からの知り合いで長い付き合いの彼女がいると言っていた。
だから一途で硬派なイメージを抱いていたのに……実際会ってみたら微塵も感じられない。
だって……年頃の女の胸見てこの人笑ったよ!?
「千明は何食べるんだよ」
わたしは黙ってマイ箸とコンビニの袋をテーブルの上に置いた。
袋の中から取り出した弁当はまだ若干の熱が残ってはいるものの……中身は全部片方に寄って最早何弁当か分からない状態だった。
……まずそう。
ちらっとそろそろ食べごろのカップ麺に目をやったが、「いただきまーす」とわざとわたしへ当てつけるような言葉と共に柏木佑輔の口の中へと入って行く。
……この人、おまけに性格もあまり良さそうじゃない。
勝手に他人のこと呼び捨てにしてるし。
「でもまさか千明があの会社の社員だったなんて。すごい偶然。ま、ここから近いしな~」
「わたしもまさかあの様子の可笑しな女性が柏木佑輔だとは思いませんでしたけど」
「様子の可笑しな?誰だよ、女装した俺にときめいていたのは」
「うっ」
否定、出来ない。
でもあの完璧な女装の迫力には誰だって息を飲んでときめくと思う。
「今日は一体……何の用があってここへ?」
「いや別に?ただ千明に会いたかったから来ただけだけど」
「じょ、冗談はやめてくださいよ」
「冗談じゃないよ。ずっと毎日会いたかったよ」
「ずっと!?な、なな何言って……」
「本当さ。今日たまたまばったり道端で会って、久々に千明のことを思い出した」
「……久々に思い出したのにずっと毎日会いたかったって?」
「細かいことは気にすんなよー」
ワハハと割り箸片手に大口を開けて笑っている。
失礼な上に性格も悪い、おまけに適当な人だ。
自分の中のヒーローや王子様は自分が都合よく作り上げた理想の塊で、芸能人だって同じ。
わたしが彼に抱いていた理想の数々は……見事に崩れ去りつつある。
現実をつきつけられた気分……。
そうだ、これは現実だ。
柏木佑輔が自分の部屋に上がり込んでいること、これは現実なんだ。
現実……やっぱり信じられない!?