Snow Love. ~大好きなキミへ~
私はジッと先輩を見つめる。
今まで少しだって乱れなかった先輩の表情が、一瞬、ピクリと反応した。
「じゃあ、なおさらだよ。お願いだから
あの子から優妃を奪わないで……」
「あの、子……?」
先輩はハッと我に返ったように、自分の口を慌ててふさぐ。
「ねぇ……あの子、って、誰ですか…?」
何か、嫌な予感がした。
……この質問の答えを聞いてしまえば、今まで優くんと積み重ねた全ての日々が崩れてしまうような、そんな気が。
先輩はゆっくりと視線を窓の外に移し、
限りなく広がる青空を見つめる。
目に入った横顔は……痛々しいくらいに切なく儚かった。
「優妃には、彼女がいる」
「……っ」
「私たちと一緒に育った、幼なじみの彼女が。いつも小さい頃から3人でいた。そしてそれは……ずっと、これからも変わらないと思ってた」
……泣きたい。
今どうしようもなく、泣きたいよ。