Snow Love. ~大好きなキミへ~
「ねぇねぇ、入学式すごく緊張する…」
「本当だよね……。クラス、3人同じかな……」
あれは、中学校の入学式。
少し前までは背中にあった、赤いランドセル。
でももうランドセルじゃなくて、代わりにあるのは、紺色のスクールバック。
私と百合はふたりで手を組んで、慣れない桜の並木道を歩いていた。
「おーい!葉月ー!百合ー!」
その時、背後から聞こえた、もう一人の幼なじみの声。
「あ、優ちゃん!」
私が返事をするより先に、百合が優妃の名前を呼ぶ。
「おう」
優妃は私と百合を交互に見ながら近づいてきて、にかっと笑った。
その拍子に風がひとつ吹いて……桜の花びらがキレイに散った。