Snow Love. ~大好きなキミへ~


“いなくなったらいい。そんなこと考えたらダメだよ。私がいるから”


そう言いたいのに、百合の胸の痛みが私にも伝わってきたようで、何も言えない。


張り裂けそうな想いだった。


私は必死に頭の中を駆け巡らせて、どうすればいいのかを考える。


……やっぱり私には、百合を抱きしめてあげることしかできないみたいだ。


それが、唯一の私にできること。


百合の恐怖を想像してしまって震えている自分の手を、百合に伸ばそうとした、
その時。


───ふわっ。


私の顔に、やわらかな風が吹いた。


私の隣に座っていたはずの優妃が……百合のそばに立ち寄り、大切そうに百合の頭を抱いていた。


伸ばしかけていた私の手は途端に行き場をなくし、一瞬迷ってからもとの場所へと戻る。


「ゆ、うちゃん……?」

「百合」


今にも消えてしまいそうなか細い百合の声に応えるように、しっかりとした低い優妃の声が響く。


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