Snow Love. ~大好きなキミへ~
「それに……俺と葉月にだって、百合は必要だ。よく考えてみろ。よく思い浮かべてみろ。大好きな人の顔を」
「………っ、ん……」
「なぁ、百合。この世界に生み落とされた命に、いらない命なんてないんだよ。
必要ない人間なんて、そんなもんこの世にいない」
百合の細長い腕が、優妃の制服をくしゃりと掴んだ。
「たまにはさ、自分のために甘えてもいいんじゃねーの?幸せになるために、自分の想い、全部言っちゃえよ。百合は誰よりも頑張った、俺は知ってるから」
「……っ、ねっ……、ゆ、ちゃん……」
「ん?」
「わ、たし…お母さんに、言っても……いいのかな……っ」
百合は、ゆっくりと優妃の胸から顔を上げる。そして、涙に濡れた瞳でしっかりと強く優妃を見つめた。
───優妃は、まるで陽だまりに包まれたような暖かい笑顔で微笑んで。
「俺が許す」
そう、言った。