Snow Love. ~大好きなキミへ~


「心配しなくていい。百合のことは俺が……守ってやるから」

「………え?」


突然の言葉に、きょとんと優妃を見つめる百合。


でも、優妃の顔はとても真剣で。


これから優妃が言おうとしていることが、なんとなく分かった気がした。


「俺な、百合のことがずっと──」


“大好きだった”


強く百合を見つめ、優しく微笑んだ優妃。


その顔は、大切な人を想う優しさと愛しさに溢れていて。


“ああ、やっぱり………”


私の中の私が、そう呟いた。


優妃の“好き”が向けられたのは、百合。


そこでやっと気付いた。


自分自身が知らない間に、私の心が優妃に恋をしていたということに。


笑顔、優しさ、言葉。


その全てが、とても大切で愛しくて。


優妃が、大好き。


だけどもう……届かなくて。


私の想いはこれからずっと、私の中だけで輝き続ける。


優妃に伝えることはないだろう。


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