Snow Love. ~大好きなキミへ~

諦めたくない



───カラカラカラ…。


先輩が開けた窓から、やわらかな風がひとつ、私の頬をなでた。


私の心の中はきっと……自分でも分からないくらいに混乱しているだろう。


優くんには、彼女がいて。


そしてその彼女さんは、再婚相手に暴力を振るわれたというつらい過去を背負っていて。


「私も陽乃ちゃんみたいに、優妃が好きだとまっすぐ言えればいいのにね……」


相田先輩は、優くんが好きで。


「でも私が気持ちを伝えちゃったら、百合の幸せを奪うことになっちゃうよ…」


好きなのに、好きだと言えなくて。

伝えたいのに、想いは伝えられなくて。


…先輩の顔は悲しみと苦しみに溢れていたけど、でもどこか優しかった。


「ごめん……陽乃ちゃん」


あの冷たい態度は、“百合さん”の幸せを守るための先輩なりの優しさ。


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