Snow Love. ~大好きなキミへ~


でも……。


「お姉ちゃん?」


人間は弱い生き物だ。

ううん、私が弱いだけなのかな。


梨乃に拒絶されることが、堪らなく怖い。


“なんで梨乃からママを奪ったの?”

“お姉ちゃんのせいで、ママは死んじゃったんだよ”


その言葉を真っ正面から突きつけられることが、どうしようもなく怖いの。


「……梨乃、髪、伸びたね」


だから今日も、ほら。


どこまでも弱い私は、聞けないんだ。
どこまでも臆病な私は、逃げちゃうんだ。


「うーん……やっぱり、伸びたかな?ねぇ、お姉ちゃん!前の、肩にかかるくらいの髪型と、今の背中くらいの髪型、どっちがいいかなぁ……」

「梨乃は私よりも目が大きいし……それに幼い顔立ちしてるからね。ん。私は、今の髪型のほうが似合うと思うな」

「じゃあ梨乃、このまま髪の毛切らない!」


私の言葉ひとつで意見がすぐに決まっちゃう梨乃の素直さに、思わず笑みが零れる。


「さ、早くご飯作って食べちゃおう!」

「うん!梨乃、お皿だすね」


ふたりで協力して作業を進める。


この日食べた朝食は、いつもの何倍も何十倍もおいしく感じた。


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