Snow Love. ~大好きなキミへ~

春の涙



暖かなグラウンドに、楽しそうな青春の声が響きわたる。


桜の花びらはもうほとんど散り、代わりに緑の葉っぱが木々に色づこうとしていた。


「………い……おーい、田中!」

「……っ、はい」

「ったくお前、また外見てんのか。授業もちゃんと聞いとけよ。進学時、困るのは田中だぞ?」

「ごめんなさい……。今度からちゃんと聞いときます」

「確か田中、前もそう言ったような気がするんだが……」


授業担当の先生が深く考えるようにそう言うと、クラス中からは笑いが巻き起こった。


………恥ずかしい。


私は赤くなった顔を隠すように、机の上に顔を伏せた。


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