Snow Love. ~大好きなキミへ~
だって彼女は、俺の大好きな恋人によく似ていたから。
でもそれは顔じゃなくて、そして体型でもなくて。
彼女の持つ雰囲気が……小さく体を震わせて泣くその姿が。
あの日の百合と重なって見えてしょうがなかった。
気付けば俺は彼女に一歩ずつ近づき、自分のブレザーを脱ぐと、それを彼女の小さな肩にそっとかける。
そして周りの人に聞こえるように、俺とこの子は恋人だと、喧嘩してたんだと、そう大きな嘘をついた。
みんなはありがたいことにその嘘をあっさりと信じてくれ、たくさんの足音が俺らから遠ざかっていく。
これが、俺らの出会った瞬間。