Snow Love. ~大好きなキミへ~
───サァァ…。
秋風が、俺たちを優しく包みこんだ。
途端に俺は百合から目を逸らす。
ドクン、ドクン。
心臓がうるさく鳴り始めた。
「優ちゃん?どうしたの?」
「……いや」
「………あ!もしかして優ちゃん、照れてるの?私が大好きって言ったから、照れてるんだ」
「……」
何も言わない俺を見て、百合はまた嬉しそうに、そして幸せそうに笑った。
……でも、違うんだ。
違うんだよ、百合。
俺は……百合の“大好き”に照れたわけじゃない。
百合の笑顔にドキドキしたわけじゃない。
俺の胸が鳴りだした本当の理由は……
“大好き”と言った百合の姿が、恥ずかしそうにはにかんだ百合の笑顔が。
陽乃と、重なって見えたからなんだよ。