Snow Love. ~大好きなキミへ~
夢と現実
───薄暗い部屋の隅。
『……っ、うぅ……、っ、う……』
お母さんが何かに祈るように額の前で手をあわせ、声を押し殺しながら泣いている。
“どうしたの?” “大丈夫?”
そう言いたいのに、私の喉から声は出てくれない。
そっと手を伸ばし……お母さんの小さな背中に触れようとした、その時。
「……っ」
目を覚ました私の視界に飛びこんできたのは、カーテンから漏れる朝の光。
「また、あの夢……」
朝いつも見る光景が、さっきまでの出来事が夢だったことを知らせる。
………最近、私はよくこの夢を見るようになった。