Snow Love. ~大好きなキミへ~
明かりのない小さな部屋で、お母さんが泣いている。
まるで何かを神様にお願いするように両手をあわせ、ずっとずっと泣いてるんだ。
その理由を知りたくて、私はお母さんに向かって懸命に手を伸ばす。
………ここで、夢はいつも終わり。
私がお母さんの小さな背中に触れようとすれば、まるで雪が地面に落ちて溶けるように、お母さんは消えていなくなっちゃうの。
そして私はいつも思う。
この夢が、お母さんから私へのメッセージなんじゃないかって。
私は何か、大切なことを知らないんじゃないかって。
この夢を見るたびに心が締めつけられるように痛くなって、泣きたい気持ちになっちゃうんだ。
「……お母さん」
小さくそう呟いてみると、久しぶりの響きに目頭がジワッと熱くなる。
私はそばにあったタオルで目元をそっと拭うと、夢のことなんて忘れたように、朝食を作りにキッチンへと向かった。