Snow Love. ~大好きなキミへ~


本当はね、あの時、あんな別れの手紙なんて書くつもりじゃなかったんだ。


優くんと百合さんの幸せを願う手紙なんて書きたくなかった。


自分でも最低だって分かってるけど、どうしても優くんと誰かの幸せを願うなんてこと私にはできなくて。


私はそんなにいい女の子でも、心の優しい女の子でもない。


優くんに幸せになってほしいと思ってるのは事実だけど、それは百合さんとの幸せじゃなくて。


私と幸せになってほしかった。


私が優くんを幸せにしてあげたかった。


………でも、でもね。


相田先輩から優くんの本当の気持ちを聞いて、それまで優くんが私にしてくれたことを思い出した時。


私、気付いたんだ。


いつも何かを与えてくれるのは優くんの方で、私からは何も返すことができてないって。


言葉、行動、温もり。


───たくさんの幸せ。


優くんが、私にくれたもの。


その大きさを考えた時にね、私にできることはひとつしかないなって、そう思った。


“優くんと百合さんの幸せを願うこと”


それが唯一、私が優くんにしてあげられること。


あの時、そう何度も自分に言い聞かせて手紙を書いたはずなのに。


……ダメだね、私。


今でも優くんのこと忘れられなくて、ずっとずっと大好きだよ。


会わないように、瞳にその姿が映ることのないように……気をつけてるけど、やっぱりキミに、会いたいよ────。


< 257 / 353 >

この作品をシェア

pagetop