Snow Love. ~大好きなキミへ~


「お母さんに嫌いって言われたら……っ」

「………」

「お母さんを事故に巻き込んじゃった私のことなんて……っ、もういらないって言われたら……っ、うぅ…… 」

「………陽乃」

「もう、私のお母さんはこの世にはいないのにね……っ。お母さんに捨てられちゃうことが……こ、わいよ……」

「大丈夫、大丈夫だから」


泣いて泣いて、とにかく全身を震わせて泣くことしかできない私の体を、愛花ちゃんがぎゅっと抱きしめてくれた。


光莉ちゃんのてのひらが、私のてのひらにそっと触れる。


「陽乃、大丈夫。大丈夫だからね」


私を落ちつけるように、繰り返し“大丈夫”って言ってくれるふたり。


………なんでだろうね。


不安だらけだった私の心が、ほんの少しだけ晴れたような気がした。


誰かの温もりを感じることで、人は、“ひとりじゃない”って思うことができるんだね。


光莉ちゃん、愛花ちゃん。


「……ありがとう」


私はもう、ひとりじゃないよ。


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