Snow Love. ~大好きなキミへ~


橋本くんは腕で汗を拭うふりをしながら、もう一度、“危なかった”と付け足す。


「でもさ、本当に気をつけろよ?今日は俺だからよかったけど……。これからひとりで帰るときは、今以上に気をつけること!」

「あはっ、なにそれ?橋本くんは私の保護者なの?」

「うーん、保護者ってか、……うん」

「なに?」

「陽乃は俺の、想い人……かな」

「……」


胸の奥が、トクンと疼く。


「あー、そんな深く考えないで。……でも俺的には真剣に考えてほしいっていうか……。いやいやいや、やっぱりいいや」


“俺、言ってることがめちゃくちゃ矛盾してるよな”


橋本くんはそう言って、少し寂しそうに笑った。


「……ごめんね」

「謝んないでよ。俺は大丈夫だから」


ふたりの間にやわらかな秋の風が流れる。


その流れにつられるように、周りにあった落ち葉がカサカサと少しだけ舞った。


「なぁ」


沈黙を破るようにそう放った橋本くん。


< 263 / 353 >

この作品をシェア

pagetop