Snow Love. ~大好きなキミへ~
橋本くんは腕で汗を拭うふりをしながら、もう一度、“危なかった”と付け足す。
「でもさ、本当に気をつけろよ?今日は俺だからよかったけど……。これからひとりで帰るときは、今以上に気をつけること!」
「あはっ、なにそれ?橋本くんは私の保護者なの?」
「うーん、保護者ってか、……うん」
「なに?」
「陽乃は俺の、想い人……かな」
「……」
胸の奥が、トクンと疼く。
「あー、そんな深く考えないで。……でも俺的には真剣に考えてほしいっていうか……。いやいやいや、やっぱりいいや」
“俺、言ってることがめちゃくちゃ矛盾してるよな”
橋本くんはそう言って、少し寂しそうに笑った。
「……ごめんね」
「謝んないでよ。俺は大丈夫だから」
ふたりの間にやわらかな秋の風が流れる。
その流れにつられるように、周りにあった落ち葉がカサカサと少しだけ舞った。
「なぁ」
沈黙を破るようにそう放った橋本くん。