Snow Love. ~大好きなキミへ~
代わりに、私の耳元と首筋に彼の熱い吐息を感じた。
あ……私、橋本くんに抱きしめられてる。
こんな通学路の真ん中で、誰が通るか分からない場所で。
橋本くんに……男の子に、抱きしめられてるんだ……。
そう意識したとたん、自分の心臓の音が大きくなったのが分かった。
「陽乃」
低くて、どこまでも凛々しい声が、私の名前を愛しそうに呼ぶ。
橋本くんは私を安心させるように、抱きしめたまま私の頭をそっと撫でてくれた。
「……よく、頑張ったな」
「……っ」
ダメだ……。
涙が、今すぐにでもこぼれてしまいそう。
「泣いちゃうからやめてよ……」
「いいじゃん、泣いても。つらい時まで我慢して笑ってたら、自分失くすぞ?」
「……う、うぅ………」
「俺はお前の友達みたいに陽乃のこと何でも知ってるわけじゃないし、お前の好きなやつみたいに陽乃に好かれてるわけでもない。………でもな」
私を抱きしめる腕の力が一段と強くなる。
「お前の不安を取り払って、笑わせてやることはできる。お前の……陽乃の背中を、誰よりも押してやることはできる」